◆◆◆ 第1ステージ ◆◆◆
Kokologo - Boromo 136q

朝食はホテルでバゲットとクロワッサン。スタート地点まで45キロ移動の為、車の隊列で朝7時に出発。
各チーム車は、選手移動用の冷房付きワゴンと、サポート用のメルセデスの2台編成。ワゴンの運転手はボニファス、メルセデスにはレオンというブルキナ人運転手が付き、これから帰国するまでお世話になる。
隊列の先頭、後ろ、周りには白バイとかが付いている。移動しているときに子供がちょっと道に出ただけで、警官が棍棒で思いっきり殴るのを目撃。うわ〜、これじゃ警察のいう事を聞くわけだ。・・・警察は最強だ。
スタート地点到着し車を降りたら、8時前なのに、暑い!なんだこの暑さは!!
呆然としながらとりあえず着替えたけど、足がまだ浮腫んでて、シューズがメチャメチャきつい。浮腫みは早く取れてくれないとしんどいな。
アップもちょっとだけして、すぐに日陰に避難。ベルギーチームは全員日陰でくたばっている。さすがにベルギー人にこの暑さは酷だろう。
全11ステージあるので、今日は集団で大人しくして、様子をみることにした。
久保さんに日焼け止めを塗ってもらい、8時半についにスタート。
走り始めて分かったけど、路面が悪すぎる。舗装されてない上に、いたる所に穴が開いている。
穴に落ちたらリム内パンクするおそれがある為、かなり神経を使う。
そしてガタガタ路面なので、いつもよりギアを2枚軽くして走らないとすぐに脚にきてしまう。
集団の中で脚を休めようとしても、常に踏み続けないと止まってしまうほどだ。
途中割と大きい落車があったけど、運良くチームメイトは誰も巻き込まれなかった。落車だけは避けなくては。怪我したら死んでしまう・・・。
でも思い切りもがいている時にコケても、滑って行かずにその場にバタッと倒れそうなほどの路面だ(笑)。

中盤にピエールを含む6人の逃げが決まり、集団も少し落ち着いてきた頃、ボトルを取りに下がってた辻ちゃんがやってきて「チームカーが故障して止まってるらしいんで、見かねた他のチームが水をくれました。早めに取りに行った方がいいと思います。」と教えてくれたので、早めにボトルを取りに車の隊列まで下がった。
オフィシャルカーが集団からかなり離れている為、チームカーの隊列まで相当下がる破目に。とりあえずオフィシャルカーに本当にチームカーが故障しているのか確認した。
やはり故障していないようなので、他の白人チームから水を分けてもらい、集団に戻ることにした。
オフィシャルカーの後ろに付こうとしたら、付けないようにわざとブレーキを踏んでくる。な、なんていけずなんだ。
集団もペースアップしていて、戻るのにかなり脚を使ってしまった。
やっとこ前に上がったところでティエリーが強烈アタック。それに10人ちょっとが反応してついていった。僕はまだ脚が回復してなかったので見送ってしまった。

勝負は先頭集団の19人に絞られて、僕たちの集団は速過ぎず遅すぎずの一定したペースで進んだ。今日は無理せずこの集団でゴールすることにした。
残り40キロでアレックスがアタックして、数名とエスケープした。それ以外はこの集団で動きはなかった。
もうゴールまでこのままだな〜と思ってたら、残り23キロ地点で前輪がパンク。手を挙げながらチームカーを待つけど、一向にやってこない。
車の隊列がどんどん抜いていくが自分のチームカーが見当たらない。ピエール達の集団に付いてるのか!!
ヤバイ!!と思って、他のチームカーにパンクを訴えたけれど見捨てられ車の隊列がいなくなった・・・。マヴィックのバイクも見当たらない。
ちょっちょっと、これって・・・・・・・・・。
カメラマンはスクープと思ったらしくひたすら僕を撮り続けている。
そして、もう後ろに車はいないけど、パンクしたままゴールまで走るのか?と質問してくる。
チームカーやマヴィックに連絡できないか聞いたら、できないと言われた。
そしてしばらく撮ってから選手がもうすぐゴールするらしく、去って行った。
何もない一本道にただ一人取り残されてしまった。回収車もいないのか・・・?30分くらい走って途方にくれ始めた頃、またカメラマンが戻ってきて、水を少し分けてくれた。
はっきり言って、この空白の30分は言葉や文章にすることは到底出来ない。同じ体験をしないと絶対に気持ちが分からないはずだ。ただ、もう広大な草原に入っていってそのまま倒れてもいいかもと思った。
カメラマンにチームに連絡してくれたか尋ねたら、してないと言ってきた。・・・カメラマンはなんて薄情なんだ。
でも、もうすぐ回収車がくると思うけど、もしかしたらホイールがあるかもしれないと教えてくれた。
回収車がいたのか〜。それだけで気持ちがかなり落ちついた。
そして千切れていたアフリカ選手達が僕を抜いて行き、回収車が僕の後ろに付いた。
すぐ回収車に行き、ホイールが無いか聞いたら、前輪があったけど空気がまったく入ってなかった。わずかな希望が・・・。
カメラマンはまだゴールまで向かう気力はあるか聞いてきたが、もう分からんがなんとかゴールまで向かうことを伝えたら再び去っていった。
残り10キロで水が無くなり、もう無理だ走れないと思いながらも、もうすぐ久保さんが来てくれる、もうちょっと、もうちょっとだけと自分を励ましながら走り続けた。でも果てしなく続く一本道の先まで見えても車が来る気配は無いし、どうせもう完走してもタイムアウトだろ、と考えたら完全に気力が無くなり、残り5キロのところでもうリタイアしようと決意した。
合宿してがんばってきたのに、初日にパンクでリタイアなんて悔しくて涙が出てきた。心に区切りが付くまでしばらく泣きながら走り、涙が止まったところでペダルから足を外しかけたら、チームカーで久保さんがやってきた。
帰ってこなくてめちゃくちゃ心配していたらしい。っていうかもっと早く来てくれ〜。前輪を交換し、水を補給してゴールを目指した。
久保さんに泣きっ面を見られてしまったけれど、仕方ない。後ろから、後2キロだ!がんばれ!!と声が飛んでくる。
ゴールしたらカメラマンがすぐインタビューしてきたけれど、精神的にかなり参ってるので、久保さんに任せてすぐに選手村に向かった。
選手村に着いたら、各チームのスタッフとかが労いの言葉をかけに来てくれて、レースディレクターも謝りに来た。
そしてうちのチームーカーの無線が故障してラジオツールが断線したらしく、ちょうどこの修復作業をしていた時に僕がパンクして情報が伝わらなかったようだった。とことん運に見放されている・・・

 
遠征前から久保さんに、計3日間のテント泊があることを聞いていたけど、初日の今日いきなりテント泊。多分、体力があるうちにテント泊にしちゃえという思惑なんだろ〜けど。テントといってもロッジかなんかかと思ってたけど、普通にテントだし・・・あ、ありえん。
周辺の村のガキ共が群がってきて、空のペットボトルをくれだの、それくれだのうざすぎる。そして空のペットボトルを1人にあげると、たちまち取り合いが始まった。・・・こりゃ1人にあげると大変だ。
辻ちゃんは熱射病になって、かなりへばっている。辻ちゃんは僕がいなくなってから3回も車の隊列まで下がって、心配して僕を探してくれたらしい。
シャワーを浴びて、お昼を食べてから洗濯した。洗濯はもちろん手洗い。昼間干せば一瞬で乾いてしまう。
ごろごろしながら辺りを見てたら、子供達が頭にペットボトルを載せて喧嘩をしていた。体がちゃんとセンターでてるんだな。マネして頭に乗せようとしたけど、無理でした。アフリカ人はすごいな〜。みんな手に持たずに頭に載せてるもんな〜。
6時過ぎになるともう日が暮れ、一気に涼しくなった。夜から朝6時半くらいまでは半袖だとちょっと肌寒いくらいだ。といっても暑がりなので半袖、短パンのままだけど。
夜はテレビでパンクで走り続けた模様を放送して、レースディレクターがコメントしていたようで、本来ならば1時間25分遅れはタイムアウトなのだけど、タイムアウトにならず明日も走れるようだ。良かったぁー。
しかし、初日にして早くも総合20位以内の目標が潰えてしまった。
でもピエールがステージ優勝し、明日からはマイヨジョーヌを守る為に働かなければ。それにしても一人で逃げて、1分半つけて勝つなんてなんちゅーおっさんだ。40歳のマイヨジョーヌ。
チーム内で優勝者とドベがいるなんとも幅広い選手層だ。




photo classements
そのB その@ TOP